持ってけ泥棒、有村無双。映画 るろうに剣心 The Beginning
2021.07.10

持ってけ泥棒、有村無双。映画 るろうに剣心 The Beginning

皆様こんにちは。
ROBROY designing outdoors
秋元悠佑です。

「The Final」があまりにも面白かったので、翌日に映画「るろうに剣心 The Beginning」をTOHOシネマズ甲府にて鑑賞して来ました。シリーズ最高傑作との声も多数。
めちゃめちゃ良かったけど、、こんなにもラブストーリーなのかい!

OVA作品「るろうに剣心 追憶編」をベースにした、「人斬り抜刀斎」時代の剣心を描く、るろ剣実写映画、第5作目。
最終作ながら、物語の時系列上では最も古い時代にあたる、前日談の物語。

良かった点。

○ 循環構造として完璧な作り

「The Beginning」は、エピソード0であり、プリクエル(前日談)なので、これを観てから第1作「るろうに剣心」に戻ることが出来るかが、最重要ポイントだと思うのですが、それを完璧にやり遂げています。まずここが偉い。10年の歳月をもろともしない佐藤健さんも良かったし、よく練られまくった、脚本と設定が最高。いやー、実によく出来ていると感心したし、頭良すぎる人達が、本気出して作ってます。完成度が素晴らしかった!
漫画原作だから、とたかを括っていた自分が恥ずかしい。日本時代劇史上屈指の名作に違いない、と感じました。(注 他の時代劇は、ほとんど観たことないですが、、)

○ リアリズム描写

今作は、例えば街歩きのシーンで、”アニメのキャラが歩いている”感が、全然ありません。もはや漫画原作と感じないほど。
剣心の着物も紺色で街の人と馴染んでいるし、キャラがそのまま登場して周囲から浮きまくる、みたいなことがありません。剣心も「おろ」とか言わない。
とてもシリアスに話が進んで行きますが、そのテイストが良かったです。

○ 人斬りアクション

人斬り抜刀斎時代の話なので、剣心は容赦なく斬りまくります。
「殺人鬼」剣心に、ファンはショックを受けるかも。だって、容赦ないんだもん。。
飛び散る血しぶきの量もすごい。映画「キャラクター」でも感じましたが、日本映画、私が観ていない間に、クオリティめちゃ上がってました。

アクション監督の谷垣健治さんは、日本が世界に誇る偉大な映画人なんだな。もはやアクションというより「ダンス」なのですが、それがキレッキレで、ただただすごい。
中でも、冒頭のアクションは特に必見。後ろに手を縛られた状態で、そんな魅せ方あったのか。。驚きのチャンバラシーンで、ありえないと思いつつも、剣心でしか成し得ない1級品のアクションで、大満足しました。
さらに贅沢を言えば、「マッドマックス」や、「パラサイト」のように、モノクロ版?クロームエディション?白黒だけの特別編集版で、観てみたくなりました。例えば黒澤映画と2本立てで、新文芸坐あたりで、ぜひ観てみたい!(欲張りが過ぎる)

個人的感想。

有村無双。有村架純が、全部持っていったぞ。(笑)

10年に渡るシリーズの中で、実質的に今作にだけ登場し、ヒロイン「雪代巴」を演じている有村架純さん。その印象が強すぎて。。
最終作にして、美味しいところを横取りで全て持っていった印象。

今作の有村架純は、心が死んでる状態で登場し、徐々に剣心を支える奥方になっていき、最後には、悲劇の結末を迎えることになります。これはネタバレではありません。話の筋は、皆がすでにわかっている。
その様が、当時の理想とされる女性像を完璧に演じきっていて、非常に奥ゆかしく、美しいのです。

良い悪いの話ではなく、例えば木村拓哉さんや米倉涼子さんは、何を見ても木村拓哉だし米倉涼子だと思うのですが、今作の有村架純は、いつもの”有村架純感”がありません。存在を消せる強さのようなものを感じました。当時の人になりきっている感じがしたし、ここは武井咲さんの”現代の女優感”と違うところかと思うのです。
それにしても、ここまで剣心と巴の純愛のラブストーリーを描いてしまうと、これまで10年シリーズを支えてきた、神谷薫の武井咲さんが、なんだかかわいそう。。こんなの、剣心の「今カノ」として、嫉妬するに決まっているでしょうが!

うーん、剣心の心の中には、結局今も巴がいるのだなぁ、と正直思わざるをえない。。

そのくらい、印象的な演技を魅せた今作の有村架純さん。
今年私は「花束みたいな恋をした」から、ドラマ「コントが始まる」から、アマゾンプライムのWOWOW「有村架純の撮休」まで、彼女一色になっていまして。有村架純研究家を自称しておりますが、これ、彼女のベストアクトの一つと言って良いんじゃないでしょうか。原作ファンで、巴っぽくないと言っている、そこのあなた。いいから黙って見てみろって。これ納得行かないヤツ、いないんじゃないか。(お前がただファンなだけだろ、のツッコミは無視します。)

その他良かった点をあげると、

※剣心のセリフ少なめは良かったし、
※新選組時代の斎藤一が見れたのも良かったし、
※気になって「池田屋事件」をもう一度ググってみたり、
※ラスボスが強すぎないのも、前日談として良かったし、
※何よりよく練られた脚本のため、上映134分。全く飽きることなし。

娯楽作として、素晴らしい時代劇でした。
春日太一さんとか、なんて言っているんだろうね?評価気になる。

作品のメッセージは、何度となく観たありふれたラブストーリーかも知れませんが、映像で見せる映像芸術になっていたし、私のような原作を知らない客が、ここまで夢中になれるのだから、実写化としても大成功でしょう。

残念なのは、緊急事態宣言と重なって、興行成績が思ったほどではないらしいということ。
こんなにお金がかかっているのに。。
とにかく面白いのは間違いないんだから、みんなで応援しましょう。

幕末の本当の歴史マニアや歴史家の方には、時代考証の点や薩長史観の点でノレないのかも、と思いますが、それ以外の方には、原作に触れているかに関係なく、絶対のおすすめですよ。

るろ剣、舐めててすいませんでした。
第1作から、この後ループ出来るのが幸せ過ぎます。
最高に楽しませて頂きました。るろ剣の全ての関係者の皆様へ、感謝の思いを込めて。
ありがとうございました。

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