老いからは逃げられない。それでも。 映画 ファーザー
皆様こんにちは。
ROBROY designing outdoors
秋元悠佑です。
現在劇場公開中、映画「ファーザー」 (フローリアン・ゼレール監督)をTOHOシネマズ甲府にて鑑賞して来ました。
大傑作なのは間違いない。何度も観ないと伏線はわからない。非常に良く作り込まれた素晴らしい映像芸術。ただし、今の私には重かったかな。。
痴呆症を抱える80代イギリス人男性(アンソニー・ホプキンス)と娘(オリヴィア・ワイルド)との関係性を中心に描くヒューマンストーリー。
良かった点。
○ 主演アンソニー・ホプキンス
今作で、2021年第93回アカデミー主演男優賞を獲得。私のオールタイム・ベストの一つ「羊たちの沈黙」以来2度目の受賞。演技が上手いとはこういうことなんだと、素人にも思わせてくれるだけの説得力がありました。
表情、身体の傾け方、歩き方、言葉のつまり方、佇まい等々。
御年83歳。いやーすごかった。彼の持つ重厚感が、元インテリの認知症老人という難しい役どころを成立させたのは間違いありません。レクター博士は、優しいまなざしも出来るんだ。
○ 脚本
認知症の話ってことで、介護する側の苦労を描いた作品なのかと思ったら、これが違って認知症患者本人の視点を、観客に擬似体験させるという試み。こんなの観たことなかったし、伏線の回収含めて、脚本が非常に良く出来ています。脚本は、フローリアン・ゼレールとクリストファー・ハンプトン。これでアカデミー脚色賞。
地味な特に事件も起こらない老人の日常の話を、文字に起こしてストーリーに仕立て上げるって、どれだけ天才なんだよ。
○ 映像美
画面構成というか、画として観た時に芸術性の高さを感じます。特に「青」の使い方。画面に印象的に青いものが置かれて、それがアクセントになっています。青にも濃さで印象の違いがあって。真っ青の買い物袋とか、どういう意図があったのだろう?
感想。
Bunkamuraル・シネマで観たかったと思うような、芸術性の高さを感じました。映画だわ。
観ながら、どう終わるのかが気になっていましたが、ストーリーとして、特に何かが起こるわけではなく。
これは面白いとかそういう類のものでなく、提示されるテーマを自分に照らし合わせて味わう映画だと思いました。問いかけられるテーマが重くて、これは観る価値があります。
認知症になるのは、本人のせい?
認知症になった、それは自分?
家族は迷惑?地獄なの?
なぜ老いても人は生きるのか?
自分が認知症になったら、どうする?
老いだけは、逃げられない運命。
重かったなあ。
世の中の說明出来ない現象、「老いても生きる意味」や、「どうせ死ぬのに、それでも生きること」を突きつけられるような気がしたし、それを成立させているのは、監督、脚本に恐ろしく才能があったこと。(監督デビュー作なんだって)
役者が素晴らしかったこと。(アンソニー・ホプキンス以外も皆素晴らしい)
美術、音楽等が素晴らしいこと。
とにかく合計点が高いという印象を受けました。
でも、今の自分が好んで観るようなものでもなかったなあ。
忙しすぎて、どうせ死ぬのになぜ生きるのか、迷子になる時があるから。。
各種解説を読んだり聴いたりすると、散りばめられた伏線が多数あり。ラストの意味も確認したいので、もう1回は観たいと思います。
とにかく上質な、絶賛の評価が多い作品。2021年の最重要作になることは間違いありません。
10年後も語られている名作となるでしょう。
マイベストではないけれど、観られて良かったです。
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