結局、人生は恋愛がすべて? 映画 パーム・スプリングス
皆様こんにちは。
ROBROY designing outdoors
秋元悠佑です。
公開前からアメリカ評論家筋の高い前評判を聞きつけ、見たかった映画「パーム・スプリングス」(マックス・バーバコウ監督)をシネマサンシャイン沼津にて鑑賞して参りました。
アメリカの観光地「パームスプリングス」を舞台に、同じ日(11月9日)を延々とループする運命となった男女の恋愛を軸に描く、バカンス満喫型タイムループ・ラブコメディ。
良かった点。
○ タイムループSFに新しい仕掛け
タイムワープというジャンルの中でも、これは同じ日を延々と繰り返す、”ループする”映画で、「時をかける少女」や「ハッピー・デス・デイ」といった作品に通じる系譜の現代最新作といった格好です。主人公だけでなく、男女二人でループするという設定が新しい発明で、そこにさらに恋愛要素を取り入れることで、これまでにないループものの新鮮さが感じられます。
同じ日にループするんだけど、そこで何をするかは自由で、記憶だけは蓄積されていく。シナリオが良く作り込まれていて、ストーリー的な破綻はないです。こう見えて、意外に作り込まれた作品であります。
○ アートワーク
今作はポスターなどのアートワークが秀逸。ポスターだけ見てたら全然違う話に見えるし、この映画の持つ「バカっぽさ」やバカンスで過ごす楽しさが良く表現されています。カラーリングも最高。
しかし、延々と遥か彼方まで、直線で続くプールって。。深いメッセージ。
○ 画作り、画面構成
スクリーンが明るく、画面のどこかには意図的に、必ず原色が映り込みます。それが映画全体の明るさを担保してくれている感じです。全く同じ作りの映画として、ジュリア・ロバーツの「食べて、祈って、恋をして」(2010 米)を思い出しました。
○ 上映時間
90分という短い上映時間が最高。ダレることがないし、無駄がない。こういう話はライトに観たいので、上映時間はとても重要です。名画座、二番館でかかった時に、この後もう1本サクッと観れちゃう。私は実際に「花束みたいな恋をした」と二本立てで鑑賞しました。(笑)
○ 役者陣
主演のアンディ・サムバーグはアメリカでは人気コメディアンみたいで、本国ではこの映画、彼の人気で観られているようです。私は初見でした。クリスティン・ミリオティは顔が印象的な女優さん。一度覚えたら忘れない系の役者顔でありました。これは役者にとっては重要な要素。いずれも良かったです。
J・K・シモンズが作品の重しとして出演していて、ちょっと重すぎるような気もしましたが、(笑)さすがの存在感でありました。いつも恐くて、今作も基本恐いのですが、優しいシーンのJ・K・シモンズも良かったです。味があったな。
個人的感想。
何度もこすられているタイムループSFのものの新たな傑作と言って良いと思います。
それはやはりシナリオとストーリーにあって。タイムリーパーが複数人いて、恋愛を主軸とする展開には新しさを感じました。
寝るか、死ぬかでリセット。毎日同じ日が延々と続きます。そこでは何でもやり放題。さて、その時人はどうする?何を求める?というのが主眼のテーマで、バカっぽさのなかに、深いテーマが隠されていました。
何でもやり放題の人生には、結局虚しさしか残らなくて、というのはこちらの想像通りですが、その先まで一歩踏み込んでくれているのが、今作の価値があるところ。
つまり、人を愛する気持ちで生きて行けるんだというメッセージ。永遠の人生が続こうが、人は、恋愛が自分を支えてくれるモチベーションとなるみたいです。
愛する人がいることは、人生最大の幸せの一つ。そう思わされます。確かに、それはそうかもね。
同じ毎日が続くなかで、日々をどう過ごすかというのは、明らかに結婚生活のメタファーとなっていて。解決に至るまでのアプローチも二人で全然違うところも、まさに実際の結婚生活のようでした。
人は、本当は地獄のように苦しい結婚生活を、なぜ続けるのでしょうね?(笑)
コメディのなかに深いメッセージを感じるからこそ、作品の高評価につながっているのだと思います。
そんなこと気にしなくても、基本楽しいコメディとなっていますけど。
とここまで、細部まで良く作り込まれた傑作だとは思うのですが、絶賛一辺倒の評価に対して、一言だけ申したい。(笑)私にはノレない部分もありました。
それは、主役二人に、イマイチ感情移入出来なかったという点。なんというか、二人の恋愛の行方とか、全然応援する気にならないし、どうでも良いというか。。
やっぱり、何でもありでやり直しが効く人生と恋愛には、感情移入出来ないですかね。勝手にやってろよ感が出てしまって。
現実は、一期一会のものだから。。
なので、感情移入して手に汗握るという展開には全くなりませんでした。
そこが個人的にはノレない点なのですが、それ以外は、良く作り込まれた良作であると思います。
下ネタも、明るくて、キツめ。これはアウトよりのギリギリのラインかな。(笑)
リゾートでループする毎日を繰り返す主人公。生きる意味を段々と見いだせなくなっていく。これ、実は私のことじゃないかと思ったりもして、少し怖くなりました。(笑)
今作は、例えば「500日のサマー」のような形で、数年後、クラシックとして語られる可能性もあります。90分で楽しめるコメディなので、観れる方は、huluでも観たほうが良いですよ。オススメでした。
2021シーズン 第36日目
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