【酷評】辻褄を凌駕する中村佳穂。そしてカヌー!映画 竜とそばかすの姫
2021.08.13

【酷評】辻褄を凌駕する中村佳穂。そしてカヌー!映画 竜とそばかすの姫

皆様こんにちは。
ROBROY designing outdoors
秋元悠佑です。

スタジオ地図、3年に1度の夏の風物詩。
映画「竜とそばかすの姫」(細田守監督)をシネマサンシャインららぽーと沼津 IMAXレーザー版で鑑賞して来ました。

この夏の興収1位の今作は、細田脚本作品らしく、賛否両論の大嵐。
ここはひとつ脚本は一切無視して、歌と映像、そしてまさかのカヌー(!)の映画を体験しよう。

※ 細田守監督 劇場版第6作目。「時かけ」や「サマーウォーズ」を始めとした細田守の集大成的作品。
細田守版の「美女と野獣」。

良かった点。

○ 中村佳穂

この映画は、主人公の声優をつとめた中村佳穂さんの歌を聞く映画です。
歌が、歌唱力が素晴らしい。歌の巧さはもちろんですが、透き通る声の魅力がありますし、歌詞に思いを乗せたときのメッセージの強さは、かなりのものがありました。音響の良い、IMAXで観て良かった。
私は、この映画を見るまで彼女を知らなかったので、彼女を認識出来ただけでも、観た価値がありました。

○ 映像美

アニメーションの新記録を行っていると思われる、アニメ表現がすごいです。キャラクターの好みの問題はあるかと思いますが、画がすごいのは、皆が納得でしょう。特にオープニングの仮想ネット社会「U」の描写はお見事。とにかく画と音楽は、この映画、すごいんだ。

○ カヌー

なぜかカヌーが登場して、話の鍵を握ります。
「かみしん」は、カヌー・スプリント競技を自分で始めて、インターハイに出場。
一応専門家的視点で言うと、序盤の川の増水シーンでは、おそらく「パーセプション」のカヤックと「AT」(ADVENTURE TECHNOLOGY)の「サムライ」というモデルのパドルがロゴ入りで登場してて。
細田さんは、きっとモンベルに相談に行ったに違いない。(笑)
あるいは、スタッフにカヌー関係者がいるのかな?

後半、クライマックスではまさかの、「日体大カヌー部」が絡む展開となり。。
それは、うちの「湖の上商店」のガイド、平岩達樹の母校じゃないかい!

ということで、完全なROBROY案件映画でした。(笑)

なぜ、ここまでカヌーなんだ?
ここまでカヌープッシュの映画は他にないのだから、全国の競技カヌーの関係者たちよ、この夏は、竜そばを猛プッシュしましょう!

個人的感想。

カヌーが出てきたので、正直オールOKみたいな雰囲気はありますが、、
酷評せざるを得ないのが辛いところ。

細田さん、これはダメでしょう。。

何がダメかははっきりしていて、ずばり「脚本が破綻していること」です。
お話が、全く理解出来ないんですよ。

※「U」とは何なのか、具体的な描写がないし。。
※「ベル」になっているときの「すず」はどうなっているの??
※ 主要登場人物みんなが、主人公の応援団って、不自然過ぎて。。
※ 50億人の中から、ずいぶん簡単に見つかるんだな、とか。
※ その見つける方法も、写真のタワマンって。。
※ 虐待は犯罪だから、そんなことより、とにかく逃げないと、とか。
※ えっ、これでハッピーエンドってことなの?とか。
※ 一応恋愛要素も入れたいの?それにしてはなぁ、、とか。

いいところも多々あるだけに、ツッコミ要素が満載過ぎて、どうしてもお話に乗れないんですよ。
それが辛い。。

メッセージとして、何が伝えたいのか、まるでわからず。
虐待に対しての行動なんかは、絶対に間違っていると断言出来ますし。
うーん、困惑しながら観終わってしまいました。
もったいないよな、これ。
もしかして、細田さんがビックネームになりすぎて、
助言する周囲のスタッフがいなくなってしまっているのかな、と思いました。

細田作品は、
「時をかける少女」「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」は大好きですし、
”夏休み映画”を強く意識している細田さんの取り組みは高く評価したいですけれど、

調べると、脚本を自分で担当するようになった、「バケモノの子」、「未来のミライ」から評価は著しく割れていて。(私もそう思う)

つまり、細田さんご自身で脚本を書いたものは、私にはついていけず、せっかくの高評価がどんどん削られていってしまいます。
今回の「竜とそばかすの姫」もそうです。ストーリーとメッセージさえきちんとしたものに仕上がったなら、大傑作だったであろうに。。

それだけに残念ですが、私もお金を払って、実は2回鑑賞しましたので、ここははっきりと。
私には、これはダメだ。

でも、以前NHKで観た細田さんの「プロフェッショナル」。
井の頭公園のアパートで、一人淡々と深夜まで作業されている姿が印象的で。
こんなに売れてる人も、こんなに頭かきむしって頑張ってやっているんだと思って。。

だって、そのアパートがね、
当時私が暮らしていたアパートのすぐとなりだったんだもの。(笑)
となりであの世界の細田守が頑張ってやってんだ、と思ったことをよく覚えています。

だから、細田守監督には親近感があるし、これからも応援したい。
ここはひとつ、脚本家だけは新たに迎え入れて、純粋な映像演出に特化した形で、才能を発揮する細田さんに期待したいと強く思いました。

そのくらい、褒めるところは褒められて然るべきだし、けなされるところは、とことんけなされても仕方がない、そんな映画だと思いました。

個人的にはダメだけど、劇場で観る価値は確かにある、そんな作品でした。
これは、夏に観ないと意味ないよ。

ありがとうございました。

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