音楽に”連れ出された”。小説 蜜蜂と遠雷
2021.04.18

音楽に”連れ出された”。小説 蜜蜂と遠雷

皆様こんにちは。
ROBROY designing outdoors
秋元悠佑です。

小説というものを、久々に(大学生以来か?)読み切りました。

「蜜蜂と遠雷」(恩田陸)

史上初、直木賞と本屋大賞のW受賞作。ありきたりの感想ですが、、小説家って凄い、と思いました。(笑)

国際音楽コンクールに挑む、天才ピアニスト達の群像劇。

良かった点。

○ 人物描写
若き天才ピアニスト4〜5名が、人物像と共に順に描写されていきます。恩田陸さんの描き方が素晴らしく、その人のキャラクターがしっかりと伝わる構成となっています。天才は、どういう天才か?違いは何か?天才達にしかわからない世界、心情が、読み進めていくうちに、こちらも掴めてきます。群像劇は、映画以上に小説には向いているんですね。一人ひとりにたっぷり尺が取れる。

○ 音楽を文章で表現する
例えば「ラフマニノフの二番」など、ピアノのコンクールということで、クラシックの楽曲が複数登場します。私は、曲名を聴いてもさっぱりなのですが、これをプレイヤーの弾き方と共に、文章で表現する。うわ、恩田陸ってハンパない。。こちらの想像力に投げてくるのが、文学ならではの面白さなんでしょうね。
クラシックは、ほとんど聴いたことがないので、曲が浮かんでくることはありませんでした。それでも、雰囲気だけでもと思って、辻井伸行さんを聴きながら読み進めました。クラシックピアノはメンタルケアに良いですね。

○ ストーリー
分厚い長編小説で、こんなに分厚い本、最後まで読んだことはこれまでになかったかもしれません。(笑)
それでも進められたのは、ストーリーが面白いから。本来、順位づけが適さない芸術の世界における競争原理を、時系列で最後まで追っていきます。それは、観客(読み手)にとっては、残酷にして最高のエンターテイメント。誰が落ちるの?全員天才だけど、じゃあ誰が勝つの?”興味の持続”が最後までありました。面白かったですね。

○ 文体
なんと表現したら良いのかわからなくて、文体としましたが、恩田陸さんの文章は、平易にしてテンポ良く、すごくわかりやすい表現でした。しかし、だからこそ、文章がうまいってこういうことだと思わされました。ぐいぐいとストーリーに引き込まれる時、文章が難しくても、返って邪魔になるだけだし。
難しいことを難しく書くことが凄いのではなく、いかに簡単に表現するか、が文章家の腕なのだと思いました。読み手に優しい。現代最高峰の評価の作家であることは、読めば納得。天才の話を書いていますが、あなたが天才だよ、となります。

さて、久々の小説で読み終わるのに一ヶ月かかりましたが、素晴らしい文化体験となりました。
読み始めるモチベーションとなったのは、実はこのブログ。書く習慣なんて全くなかったので、何かを書くにあたってどうしたら良いかと調べるうちに、「書くためには、読まなければならない」という定説にたどり着きまして。それで探し当てたのが、今回の「蜜蜂と遠雷」。

恩田陸さんがいかに天才であるかは、大学時代、友人の文学少女から伝え聞いていたし、迷ったら「本屋大賞」から順に進めようと思っていました。

映画化されていることも、大きな後押しとなりました。主演は松岡茉優。大好きな女優さん。映像化しちゃうと、観客に実際に音楽を聞かせないといけなくなりますが、そのハードルは、どのように超えているのでしょうか?原作から映画の流れも、もう何十年も経験してないことなので、このあと観るのが楽しみです。

何はともあれ、私はブログを毎日書く生活を続けています。大変な思いをして書いていますが、「書きたい」というモチベーションが実は自分にはあったみたいです。もう100日続いています。自分みたいなだらしない性格で、よく始めたなあと。繰り返しますが、相当に大変です。(笑)
書くことを続けるうちに、優れた作家に触れたくなりました。読書というまた新たな楽しみが、手に入ったようです。幸せ。次は、角田光代さんを行きたいと思います。

映画も音楽も読書もドラマもか。スポーツも観たいし。

時間。。

世知辛い世の中にも、楽しみは残されていますね。

2021シーズン  第18日目
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