誇りある、”自由な人生” 映画 ノマドランド
2021.04.04

誇りある、”自由な人生” 映画 ノマドランド

皆様こんにちは。
ROBROY designing outdoors
秋元悠佑です。

本日は、ごく一部の友人界隈にのみ好評を頂いている、映画回いってみましょう。コロナで今年は4月末の発表となる、2021アカデミー作品賞の最有力「ノマドランド」(クロエ・ジャオ監督)をTOHOシネマズ甲府にて、鑑賞して参りました。

舞台は2012年アメリカ。高齢者のワーキャンパー(ワーク+キャンプ)が、キャンピングカーで旅をするお話。

大前提として、私は現在、主人公ファーンに負けず劣らずのリアルノマド生活を送っておりまして。(私の境遇を知っている人は、笑うところ)そもそも、共感バイアスがかなりかかった状態で見ております。日本のワーキャンパーが観た、アメリカのワーキャンパーは果たしてどうだったのか?

良かった点

○  2021に、劇場で観ることに価値がある作品。
現実世界のコロナ禍とのリンク。海外に行けない時代にスクリーンで観る海外の大自然。説明セリフ少なめの演出。どれも良く出来ており、映像芸術、まさに映画になっていた。

○ 役者陣の輝き。
主演 フランシス・マクドーマンドはさすがの一言。顔も似た感じですが、日本でリメイクするなら、この役は大竹しのぶさんですよね。後は、俳優さんじゃない一般の方の出演で成り立っている映画ですが、演技、皆さん良かったです。

○ 音楽、画面のトーン。
好み分かれると思いますが、いかにもなエモい音楽と、決して青空は映さず、終始暗い画面になっていたのも、作品のテーマに合っていて良かったです。

○ 作品全体のメッセージ。(後述します)

素人にも、映画としてのレベルが高いのは良くわかりました。

個人の感想として。

アメリカ、キャンピングカー事情がしっかり描かれていて勉強になったりして、とにかくこれは「いい映画」でした。
しかし、個人的にはちょっとノレなかった。理由ははっきりしていて、「ストーリーが無さ過ぎる」点。ドラマがもうちょっとないと、おもしろくないかな。。
でもこの映画、好きな人もたくさんいると思います。すべての水準が高く、良く出来ているから。芸術点が高いんでしょうね。観客の世代によっても評価が分かれそう。

作品のメッセージはなかなか深くて。ポジティブな面では、高齢者が旅に繰り出すのが良かったです。この映画のノマドの方は、保険とか、保証とか、そういうものはありません。金無しの綱渡り生活で、唯一の財産がキャンピングカーであり、守らなければならない、”人生の荷物”が他にありません。それだけに、自由なのです。気高き自由がそこにある。それが、ある種幸せそうに描かれています。私にとっても、それは羨ましく幸せな生活に見えました。金なんか、無い方が幸せ。

若者は旅をしろ、みたいなメッセージは聞き飽きています。この映画を観ていると、むしろ逆だろうと。歳を取ってもう守るものが何も無くなったら、何も持たずに片道切符で旅に出ればいいじゃないか、というメッセージには激しく共感しました。

一方で、本当にクルマが壊れて走れなくなったら?健康じゃ無くなったら?今60代だけど、90代になったらどうする?という「見ないようにしているだけ」の問題には、劇中、何の解決作も示されません。
ここ、今の時代に響く人も多いんじゃないですかね。実はこの時代、誰にも保証なんてないんだ。この先、どんなことだって起こりうる。

私は、ROBROYという個人事業やっているので、ある程度覚悟が固まっており、先の見えないこと、保証がないことに関しては、何の不安もありません。そうじゃなきゃ面白くないとすら思っています。”人生の荷物”も紆余曲折を経て、今はない状態になりました。今感じているこの自由は、他の何物にも代えがたい大切なもの、そう思っています。だからその分、リスク(孤独や将来不安)は引き受けなくちゃいけないと思っていました。この映画は、世界中で同じ立場の人が、(もっと厳しい条件で)生きていることを教えてくれる一作でした。

面白くはなかったので、見返すことはないでしょう。けれど記憶に残る一作になったと思います。
記憶に残るのは、おそらく2021に観たからですね。「今」劇場で観ることに特別な価値がある、そんな映画でした。

2021シーズン  第4日目

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